舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第4章 奥州下り 監視する者とされる者
 半年後、勅旨の下向に警護として同行した夜叉丸は白川の関に入った。
 彼らとはここで別れた。その約束であった。何かあれば吉凶占いをして物事を決めながら進む彼らの歩みの遅さと堅苦しさに辟易していたのだが、夜叉丸はやっと解放された。おそらく彼らの意識の中で奥州を差別する心が旅の進行を遅らせたのかもしれない。
――長かった。秋の初めに出立で手間取り、挙句の果てに冬が終わってしまった
 大きな伸びをしながら周りの景色を眺めると夜叉丸にとっては、春になったばかりだというのに日陰の水溜りに張った薄ら氷や山の頂に見える雪景色が自分を拒絶しているように思えた。奥州人を夷だと差別する感情はないが、それでも敵地に乗り込むという気負いがそう感じさせたのだろう。山の形や樹梢が親しんだ京の優美さとはまるで違い、全体に男性的な雄々しさを感じた。鬼姫にも見せてやりたい風景だった。鬼姫は自分も行きたいと父親の重盛を困らせたが、叶わぬことであった。ずっと機嫌が悪く、夜叉丸の見送りには教経に襟を引っ張られて渋々出て来た。何故そんなことを思い出したのか言えば、きっとこの辺りの関所を含めた白川一帯の荘園が平重盛のものだからであろう。まさにここで平氏が藤原氏と緊張を腹に隠してじっと対座しているのだ。
 夜叉丸は、直轄領の代官である目代に挨拶に行った。夜叉丸のことは既に連絡が届いており、新しい馬と追加の路銀を渡された。鬼姫からの手紙も届いていた。弓の達者な羅刹という若者と体術を得意とした大男の金剛という若者が幹部に昇格し、京の警護をしているから、夜叉丸はもう帰参無用とかわいげもなくに書いてあった。そうわざわざ書いてくるところが鬼姫らしいと思った。まだ一緒に来られなかったことを怒っている。
――しかし、鬼姫も人を見る目がない。金剛など裏がないといえば聞こえが良いが、お人好しの力自慢だし、羅刹は、確かに弓の腕は確かだが……
 夜叉丸は、羅刹が二三人の禿衆といっしょになって町娘を拐かして神社の裏手に引き込み帯を無理やり解いたところに行き合わせたことがある。数人の鬼姫衆を引き連れ巡回中の夜叉丸が偶然その場を通らなければ、娘は陵辱されていたであろう。肩袖を引きちぎられたその娘は号泣しながら逃げ出した。
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