舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第3章 五条大橋の死闘
「さて、夜叉丸よ。来月後白河院の院宣を持った使者が奥州平泉に出立する。警護として同行せよ。平泉に着いたら、遮那王を捜せ。今は元服して九郎義経というらしいが、秀衡が奴に何をさせたいのか、探りを入れよ?」
「場合によっては、殺しても構いませぬか?」
 思わず力む夜叉丸を見て忠度は、苦笑し首を横に振った。
「おぬしの剣技が義経を上回ったならば、それもよい。それまでは義経の前に出ることは許さぬ。ただし、総帥清盛入道の命である。奴に誰ひとり近づけるでない。旗印を捜しに奥州へ向かう源氏の武者はすべて斬れ!」
 遮那王に敗れた五条の橋の一件を忠度は知っている。些か自尊心を傷つけられたが、長く床に就いていた夜叉丸には、返す言葉もなく更に平伏するしかなかった。
「先の弁慶との戦いで太刀が折れたと聞く。これを持って行け。五条兼永じゃ」
 見よと忠度に言われ、夜叉丸はその豪奢なつくりの太刀を抜いた。二尺四寸七分、反り八分、小さな曲線模様が続く小乱れと小丁字交じりの刃文を持ち、表裏に棒樋が彫られていた。小丁字とは植物のチョウジの果実に似た刃文の細かいものである。よく鍛えられているようで、地斑といわれる黒い斑が見えた。
「わかるか? 物打ちより上が無反りじゃ。馬上からの攻撃に適しておる。奥州には良き馬もたくさんおるぞ。その太刀を馬上で扱えるように精進せよ」
 太刀にも相性というものがある。兼永を構えた夜叉丸は自分自身との邂逅とも言うべき不思議な懐かしさを感じた。はじめて触れたその太刀は夜叉丸の体の一部のように馴染んだ。
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