舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第1章 萌し ―序
 力を使い果たした権蔵に松寿丸は抱きついた。体が強張っていく。力を入れて小刀を握っていたためであろう、手のひらの皮が破れるように熱い。刃が肉の中に突き刺さっていく感触が何度も両手によみがえり松寿丸は震えが止まらくなった。
 突如、松寿丸達を取り巻く山犬が殺気を含んで激しく吠え始めた。
 仲間の異変に感づき戻ってきた追っ手にいつの間にか囲まれていたのだ。目を血走しらせた四人が太刀を構えてジリジリと間合いを詰めてきた。あまりの剣幕に腰を抜かした権蔵は戦意を喪失し、兄弟を抱きしめたまま後退りした。
 松寿丸は堪らず権蔵の腕を振り解き、血のついた守り刀を震える両手で構えた。大きな恐怖が全身を貫く。そこへ両耳の立った脚の長い大きな黒い犬が荒い息を吐きながらのっそりと割り込んできた。まるで、宝刀の持つ妖しい力に手繰り寄せられてきたような動きだった。
「山ん(の)神じゃ……」
 尋常ではないその大きさに権蔵が震えている。その時、彼等を取り囲んだ二十頭近い群れた山犬が一斉に夜空に向かって咆哮した。
 忽ち大地が激しく揺れ、雷鳴が轟く。体の中に入ってきた得体の知れないおぞましい何かに松寿丸の心がぐっと掴まれた。そして、山犬達が次々と追っ手に跳びかかっていった。
 守り刀を大きく振りかぶった松寿丸は、甲高い獣のような叫び声をあげ意識を失った。
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