舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第3章 五条大橋の死闘
自分を認めてくれた唯一の大人に対して、是非もなく盲従していった。
 そして夜叉丸の弟は、兄と正反対の資質が開いたようである。武芸になんの興味も示さず、経ばかり読む毎日が続いた。父親を知らぬ兄弟が心の中で父と思っていた下僕の権蔵が死んでからは、弟は人の命の儚さから仏の道に関心を持ったようである。その才能に気づいた忠度は稚児として鞍馬山に弟を預けた。幸菊丸は覚慧と名を改めると喜びを隠さず勇躍として山門をくぐった。そして、忠度は必ず月に一度は鞍馬山の様子を報告するように覚慧に命じていた。目的はひとつ。同じく稚児として鞍馬の山で修行していると言う源義朝の忘れ形見、遮那王の監視のためであった。
 遮那王は、源義朝の九男として常盤御前の第三子として誕生した。
 七歳になったところで常盤により鞍馬山の別当東光坊に預けられていた。

 夏になって、鬼姫が都に広がりつつある不穏な噂を聞いてやって来た。
「五条の橋に毎夜、辻斬りが出るらしい。それも平家の者ばかりが狙われておる」
 夜叉丸兄弟の部屋に入るなりどかっと胡座を組んで座った。いつの間にか彼女の髪は長く伸び、頬の両側の部分を短く切りそろえた鬢そぎという年頃の女性の髪型になっていたが、態度はまるで若武者そのものであった。
「身の丈が、六尺以上あるらしい。大きな熊手をもっているという者もあり、薙刀じゃと言う奴もいる。比叡山の法師か?」
 夜叉丸も当時の十五歳の平均よりかなりの身長になっていたが、本当に六尺以上だとすると一尺半以上の差があるということになる。夜叉丸は鍛えられて弾力のある腕を擦りながら視線を上げ、その化け物じみた大きさを思い浮かべた。
「その噂は俺も聞いた。また、法師ではなくて稚児じゃという噂もある。それも背中に羽根の生えた稚児……」
「羽根のはえた稚児じゃと? まさか飛ぶのか?」
 夜叉丸はあからさまな侮蔑で鬼姫を一瞥したが、太刀に手をかけ怒りを表した鬼姫を見た途端慌てて弁解した。何が気に入らぬのか鬼姫の気の荒さ、短さは年々顕著になっていく。
「あるわけがなかろう。しかし、俺も調べてみたがようわからぬ。確からしいのは、太刀を取られて襲われたのは、皆平氏……」
 鴨川に架かる五条大橋は、六波羅の目と鼻の先である。夜叉丸もその噂を知っていて配下の禿衆を使って聞き込みをさせていた。
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