舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
アフィリエイトOK
発行者:鯉詞C
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第2章 平氏の剣
 これでは平家が奢っておると言われても仕方がないと清盛は嘆いた。大納言時忠が「平家にあらざらん者は、皆人に非ず」と、言い放ったことを清盛自身が一番快く思っていなかったのだ。一代で上り詰めた清盛は人一倍周囲に気配りが働いたと伝えられている。
「摂政殿の髻を切り落としてしまったのじゃ、それはまずいであろう」
 教経は自分の髷を引っ張りながら懸命に深刻な顔を続けようとしたが耐え切れずに吹きだした。
「鬼姫は摂政殿の髻を切ることを止めたということが明らかになって、そこの蔵ですんだ。まあ、子供のしたことゆえ。しかし、不孝の極みと伊勢にて謹慎が申し渡された資盛殿に比べれば軽い仕置きじゃ」
 どちらの仕置きもまだまだ甘いかもしれない。これが今の平氏の力なのだと子供ながらに夜叉丸は理解している。
「夜叉丸がついていながら、そちが鬼姫を止めないで誰が止めようぞ」
「それは無理じゃ。俺にも止められはせぬ」
 夜叉丸に即答されて教経は言葉を失ってしばらく黙った。
「確かに……、何しろ相手は人でのうて頑固な鬼じゃから」
「それにその場に教経がいたらもっと大惨事になっておったわ」
 二人が顔を寄せて笑ったときだった。蔵の中で正座しているはずの鬼姫が叫んだ。
「教経! 何しに来た。わらわは人じゃ。そんなことを言いふらすと食い殺すぞ」
 明らかに怒っている。何かの砕ける音が何度も蔵の中で耳障りに反響し続けている。ここで小窓から覗き、「やめろ!」などと叫んではいけない。火に油を注ぐの例え通り、旋毛曲がりの鬼姫は意地になって手当り次第に破壊を続けるであろう。後片付けは誰がやるのだと、夜叉丸は鬱陶しさで気分が沈んだ。
 教経は手に持った扇を半分ほど開いて自分の口を慌てて隠すと夜叉丸に戯けて見せた。
「気落ちしているのかと心配で来たが、鬼姫に限っては、とんだ取り越し苦労をしたものよ」
 鬼姫のことが心配で様子を見に来た教経であったが、彼のついた吐息に夜叉丸も教経が安堵したことを感じ取れた。
「しかし、いつの間にか鬼姫衆の乱暴振りも都で有名になったものじゃ。この都で誰も逆らう者はおるまい。鬼姫とおぬしで鍛えておるのか?」
 教経が夜叉丸に顔を寄せ、声を落とした。夜叉丸は黙って頷いた。
22
最初 前へ 19202122232425 次へ 最後
ページへ 
小説家になろうのサイトにて1カ月で2000アクセスを達成しました。
ページの先頭へ