舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第2章 平氏の剣
 当時平清盛は、三百人ほどの赤い直垂を着た十四五才の禿を放って、市中を警護させ、平家に対し一言でも誹謗する者があれば、その家に乱入し家財を損壊させ、その上絡め獲り六波羅へ連行していた。市中で六波羅の禿だと言えば、馬さえも道を譲ったという。
 鬼姫も持ち前の正義感で禿衆を組織し、市中警護に出歩き始めた。それは、父重盛の威光と自らの剣技で統率された集団であった。彼女だけ赤い直垂の背中には、金糸で大きな蝶の刺繍を施してある。揚羽蝶は平氏の家紋なのだ。彼女はそれが自慢だった。もっと言えば直垂の赤も鬼姫の赤は違っている。紅花で何度も繰り返し手をかけて染めた鮮やかな韓紅色である。
「船岡山の近くに力自慢の赤禿がいるらしい。今日はそいつだ」
 束ねた後ろ髪を風にそよがせながら夜叉丸は鬼姫の先を歩いている。彼は禿衆を特徴づける禿頭にすることを嫌った。直垂も最初は紺色を着ていたが、「平家の色ぞ」と散々鬼姫に言われて渋々赤に変えた。それでも胸紐の色は皆と違えた。忠度の厳しい躾のためか夜叉丸は平家の公達といっても通用しそうな凛々しい若武者に変貌していた。時折鬼姫の機嫌が悪いときは彼のことを「野良犬」「捨て犬」と呼ぶことがあったが、都へ上ってきた頃の薄汚い彼の面影はなくなっている。
 鬼姫は夜叉丸との二人組みで他の赤禿衆に試合と称した喧嘩を売ってまわり、悉く撃破、これはといった者を自分等の傘下に吸収していった。いつしか彼等は鬼姫衆と呼ばれ、禿衆最強の統率された剣の組織ができあがろうとしていた。鬼姫の方針で出自に関係なく実力で序列が決まる。忠度の「平氏の剣になれ」と言った言葉を鬼姫なりに解釈し、実践していたのかもしれない。
 群れることが嫌いな教経はそんな鬼姫を鼻で笑って静観していたが、その行動を否定してはいなかった。

 気づくと鬼姫衆の規模は六十名近くになっていた。夜叉丸はそこで筆頭の位置につけていた。鬼姫衆の実際の面倒は気まぐれで我侭な鬼姫にかわり夜叉丸が見ている。周りはほとんど年上であったが、剣技の高さと夜叉丸の気立てに逆らうものはいなかった。誰にでも牙をむいていたつもりであったのに、集団の中に入ってしまえば、意外な面倒見のよさを発揮した。これには夜叉丸自身が驚いたほどである。
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