舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第15章 倶利伽羅峠 対決巴御前
「都育ちの姫君は、歌でも詠んでおるがよい。痛い目にあってもしらんぞ」
「そのような大層な鎧を着て、田舎女は力持ちじゃ。鍬でも持って田でも耕しておれ」
 互いに右回りで隙を窺いながら間合いが徐々に詰められていく。巴が先に動いた。一歩大きく踏み出し、下段から斬り上げた。瞬間、鬼姫は大太刀の下を掻い潜り摺抜けつつ、上段から巴の額を狙って斬りつけた。巴は太刀の元の方でそれを撥ね返すと、すぐさま素早く斬り返した。すかさず鬼姫が体を開いてかわし、太刀捌きで幻惑させて巴の太刀を上段に誘うや膝を深く曲げ隙のできた下半身を狙って払ってきた。巴は思わず地面を蹴って後ろに倒れるように逃れた。すぐさま斬り下ろしてくる鬼姫に向かって突き出すように大太刀を投げつけ鬼姫が刃先をかわした隙に回転して起き上がった。
「身軽な女子じゃ」
 巴は口元だけで笑うと、腰の太刀を抜いた。
 突然横からもうひとりの女武将が薙刀で鬼姫に斬りかかってきた。
 巴が「下がれ! 葵では勝てぬ」と必死で叫んだが、間に合わなかった。鬼姫が葵の攻撃を宙返りしてかわすや、鬼姫を護衛していた摩虎羅組の一斉に放った矢が葵を貫いた。
「手出し無用と申したではないか!」
 鬼姫は恐ろしい形相で摩虎羅を睨むと、断末魔の叫び声をあげて即死した葵を抱き止めた。巴が切っ先を鬼姫に向け構えを変えた。
「葵の敵、生きては帰さん」
「望むところ、いざ」
 二度三度と火花を散らして斬り結んだが決定的な致命傷は互いに与えられなかった。
 またしばらく間合いを取って、息を整えた。
「われの攻撃を受けきった者は女子ではおぬしが初めてよ。なかなかの腕じゃ、田舎女が」
「京にも……猿がいたとはな。落ち着きなく……少しも……じっとしておらぬ」
 強がりを鬼姫に返しながらも巴の息が上がっていた。
――光と影とは斉明もうまいことを言ったものじゃ。確かにわらわは、人を斬るための暗殺剣、巴は自らが生きようとする剣じゃ
 あと二三度斬り結べば、勝てるかもしれない。鬼姫はそう確信しながらも躊躇いが生じつつあった。敵ながら巴の真直ぐな太刀筋に惹かれ始めていたのだ。時代が太刀を通じてしか心を通わせられなくなっているのかもしれない。
 鬼姫は、間合いを保ちながら構えを変化させ巴の体力が回復するのを待った。そんな鬼姫の心を読んだのか、巴も優しい目で笑い返した。
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