舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第15章 倶利伽羅峠 対決巴御前
兼平は妹の顔を見て息を呑んだ。無言の巴は、兼平に「耐えよ!」と訴えかけている。義高は巴と義仲の子なのだ。彼は体中の力が抜けてその場に蹲ってしまった。巴は義仲を信じている……。
「巴は何故我慢ができるのだ……」
 兼平は夜叉丸等の存在を忘れたかのように呟いた。
「巴? 巴御前のことか?」
 兼平の独り言に、若武者姿の鬼姫が反応し、初めて口を開いた。
「やはり、そちは女子であったか。美しき若武者じゃと思っていたぞ」
 兼平が別に怪しむ様子もなく笑ったが、夜叉丸が慌てて言い繕った。
「姉なのじゃが、旅は男姿のほうが何かと都合がよく……」
 姉と言った途端に鬼姫が分からぬよう夜叉丸の腰の辺りを抓った。
「なに、母子を助けたそちの身のこなしも天晴れなものじゃったが、わしの妹も強いぞ。戦場でわれらより敵の首級をたくさん取ってくることもある。先の横田河原の戦では、七人の武将を討ち取った。七人じゃぞ。その妹巴を……守ってやれなんだ」
 兼平は悔しくて何度も床を殴り続けた。兼平も義仲に対して自他共に誰にも負けない忠節を尽くしていると確信していたが、義仲を頼って来た二人の叔父は信じるに値しない人間だと感じていた。
「われらは絶対に頼朝を許さぬ。確かに兵力は頼朝の方があるじゃろう。人質を出したことで後顧の憂いなく、北陸を攻めることができたことは認める。じゃが、必ずや先に京に上り、院宣を受け、平氏を滅ぼし、次に頼朝を討つ。そして巴の子義高を奪い返す」
 酒が進み過ぎたのかもしれない。宮毘羅の座持ちの上手さからか兼平は、夜叉丸等を全く疑わなくなっていた。最後には夜叉丸らの持つ爽やかさに酔った態をみせ、彼は笑顔を絶やさなかった。
 そして、夜叉丸は敵であるはずの兼平に惹かれていく自分を感じていた。また、鬼姫はまだ見ぬ巴御前という名を胸に刻み込んだ。

 寿永二年四月十七日。ついに平家本陣が動いた。重盛の長男三位中将維盛、教経の兄である越前三位通盛を大将として、十万余騎の大軍で京を発った。
 平家軍はまず福井県の火打城を攻める。そこは義仲にとって越前の防衛線であった。義仲はそこに五千余騎を派遣し篭城させていた。
 鬼姫の残しておいた摩虎羅組に脅迫されて斉明は、味方に気付かれぬよう平氏側と内応し、城は四月二十七日陥落した。
 平家は初戦に勝った。
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