舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第13章 墨俣川 再生平氏
 夜叉丸は忙しいので帰れと何度も請うたが、鬼姫は円座で胡坐を掻いたまま一向に立ち上がる気配を見せず夜叉丸の準備の邪魔をしながらずっと小言を言い続けた。

 行家を迎え討つため、平重衡を総大将として維盛、通盛、忠度、知度、盛綱、盛久等の武将七千余騎が杭瀬川を渡り、西の墨俣側に陣を張った。重衡は清盛の五男で牡丹の花に例えられる美丈夫であり、武勇に優れ、指揮官としての能力も高い。以仁王追討などで勝利を納め常勝将軍の異名を持っていた。一番清盛の血を引いていると言われた。「悪徒を搦め、房舎を焼き払え」との命令に南都討伐の大将軍となって、東大寺大仏殿に火をかけたのも神仏、迷信を恐れぬ清盛の遺伝因子が濃いせいかもしれない。
 それに対し行家は千余騎を率いて東の羽島側に対峙した。
 治承五年三月十日に日付が変わろうとしていた。
 忠度の命で夜叉丸をはじめとする鬼姫衆は闇に紛れて斥候に出た。
 大きく二手に分かれ行家の本陣と義円の本陣に忍び込んだ。夜叉丸は義円側にまわった。義経の兄ということで関心があった。頼朝が義経ではなく選んだ男……
(やはり、義経のように戦上手なのか?)
 情報が少なく、まだ見ぬ敵が不気味であった。
 夜叉丸は更に人数を絞り、各方面に散らばせた。そして夜叉丸自身は宮毘羅を連れて敵本陣の奥に入っていった。
 だが義円の姿が見えない。
「まさか奇襲をかけるつもりでは?」
 宮毘羅が確証のない不安を口にした。可能性はある。だが不思議だった。その本陣には大将だけがいない様子なのだ。決戦を明日に控えたごく普通の陣容である。
「味方をも欺き、少人数で川を渡る気か? これは少々侮れぬかも知れぬな」
 夜叉丸は宮毘羅を促すと更に奥へと音を立てず早足ですすんだ。葦を掻き分け進んでいくうちに突然人馬の気配を感じた二人は暗闇の中で太刀に手をかけ、身を沈めた。鬱蒼と茂った葦の間から落ち着きなく動き回るひとりの人影が覗けた。
「われこそは源の義円なり! 源氏の総大将であるっ」
 その影は、夜叉丸と宮毘羅がすぐ近くに寄ってきても気づく様子もなくしきりに同じ口上を大声でまくし立てている。大きな声の独り言だといってもよかった。
 二人は慎重にその影に近づいていった。
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