私立全寮制御堂学園物語 ダークサイドバージョン
私立全寮制御堂学園物語 ダークサイドバージョン
成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:---

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私立全寮制御堂学園物語 ダークサイドバージョン 第11章 第十章 凶器
 秀一はくるりと身体を翻し、ナイフを後ろに投げる。床に落ちたナイフは血糊をこすりつけながらきりきりと回転し、スチールの薬品棚に当たって軽く跳ね返る。
 秀一はゆっくりと歩いて、理科準備室のドアに手をかけた。
 「シュウーーーーッ!!」
 絞り出すような涌坂の叫びだった。秀一は構わずドアノブをひねり、ドアを開ける。
 「聞けぇーーーッ! シュ、……ウ……」
 脂汗をかいて叫ぶ涌坂の声に苦悶がにじむ。清家はすっと足を揃え、ドアを軽く閉めた。
 「お、俺は……」
 床から見上げる涌坂の顔は、見る間に青白く変わっていく。清家はその姿を感情のない目で見下ろしていた。
 「ずっと……死にたいと、この世から消えたいと……思い続けてきた」
 清家は微動だにしない。
 「けど……俺は……臆病なんだよ。自分じゃ死ねない。あの平田ってチビなんかより、よっぽど臆病な……ドブネズミだ……」
 「知ってるよ」
 秀一の平板な小さな声。
 「だから、俺はガキどもを……ガキだけじゃねぇ、近くにいるヤツらみんな、傷つけて、ぶち壊して、怨まれて……なのに、誰も俺を殺してくれない。殺す値打ちもないんだ、俺なんか……」
 涌坂の青白い唇に、自己憐憫の弱い笑みが浮かぶ。
 「もう、行くぜ」
 再び秀一は涌坂に背を向ける。
 「……ありが、とう……シュウ……」
 秀一はいったんドアノブを握った、血糊に汚れた手を離す。
 「俺を、殺し……て……くれ、て……ありが、とう……」
 (愛してる、愛してた、シュウ)
 最後の言葉は、涌坂自身、声に出せたかどうか、わからなかった。いずれにせよ、秀一には届かなかった。

 涌坂の意識は、そのまま闇に溶けていった。
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