私立全寮制御堂学園物語 ダークサイドバージョン
第10章 第九章 カルマ
しかし様々な意味で、猪瀬の計算はことごとく狂い、予想もしない展開が待ち受けていた。
(……あまりに、ひどいな……)
猪瀬は証拠品を数枚のDVDRAMにまとめるため、ほとんど全ての映像と画像を手早くチェックしていたが、とりわけあの地下駐車場の惨劇は彼に衝撃を与えた。
(シュウ、涌坂さんよ……何でこんなことになっちまったんだ? しょせん僕らの抱えた業ってのは、こんな所に行き着くさだめなのかい?)
珍しく猪瀬は、激しい鬱の感情に襲われ、体の力が抜けていくのを感じていた。
†
手負いの獣の反撃というものは恐ろしい。しかしそれはやはり手負いのものの捨て身の反撃に過ぎず、そこに冷静な判断力は影をひそめ、自身の命運をも縮めるのがさだめだ。
†
将大に呼び出しがかかったのは、例の宮下のPCから証拠品をぶったくった翌日だった。
「5年A組の岡本君、至急、職員室まで来て下さい」
職員室で将大を出迎えた担任教諭は、裕の自殺未遂事件以降、憔悴しきっていた。
(一体どうなるんだ、御堂は……何が起こってるんだ?)
「あ、来たね、将大君」
憔悴しているだけではなく、ただ事ではない空気は、将大にもすぐ伝わった。
「いいかい? 落ちついて聞くんだ」
落ちつけと云う当の教諭の声は震え、机上の無意味な手の動きが、激しい動揺を物語っていた。
「お義父さんが、暴漢に拳銃で撃たれた。今さっき、病院に運ばれたと連絡があった」
†
32
NIGHT
LOUNGE5060