私立全寮制御堂学園物語 ダークサイドバージョン
第9章 第八章 リベンジ
深夜学園に戻り、全ては明日にしようという猪瀬の言葉に従い、三人は、それぞれ床に入った。
地下駐車場での《出来事》の後も、この、裕の自殺騒ぎの後も、肉体も精神も疲労困憊であった彼らだが、無慈悲にも悪夢は、二晩彼らを責めるのをやめなかった。また彼らの肉体あるいは《性の装置》に刻まれた傷も深く、下半身を駆け巡る認めがたい高ぶりに、それぞれが、また心の傷を深めていた。
翌朝九時半、三人は、揃って猪瀬の部屋に出向き、純也が、ドアをノックした。
四人が、車座になる。重い沈黙が続く。
何をどう話せというのだ。自分たちがされたことを逐一、語れるだろうか。
猪瀬が、口火を切った。
「すまない。どう云えばいいかな。……じゃ、まずイエスかノーかだ」
ピックを右手で弄びながら、猪瀬が続ける。
「裕君の、自殺未遂には、清家が絡んでるね?」
三人がばらばらと頷く。
「で、もしかすると、涌坂も?」
また三人が頷く。
(やはり、な……)
「まず、話しやすいように告白しよう。涌坂も僕も、男性同士が愛し合うということ、さらには、君たちのような、幼い少年を愛するという、嗜好が存在することをよく知っている。そして、僕も涌坂も、現実に少年に性欲を感じ、そういう嗜好を持ってることをお互い知っていた」
純也は、裕が猪瀬を見つめる時の眼差しを思い出した。
「さらに、清家と涌坂は、清家が中二の頃までは、肉体的な関係があった」
この暴露は、三人を驚かせた。しかし、誰も何も云わず、ただ猪瀬の口元を見つめている。
「男と男の愛、男色だとか、ゲイだとか、それから少年を性的に愛する少年愛。僕がそのことを云った時の君たちの顔を見ていれば、おそらく清家と涌坂が裕君にしたことは、性的ないじめ、もしくはレイプに類することなんじゃないかと思う。いや、裕君だけじゃない。君たち三人も、被害者だね?」
三人は、やはり頷く。亮平の顔が、心なしか歪む。将大はその顔を、気遣わしげにちらりと見る。
27
NIGHT
LOUNGE5060