私立全寮制御堂学園物語 ダークサイドバージョン
私立全寮制御堂学園物語 ダークサイドバージョン
成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:---

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私立全寮制御堂学園物語 ダークサイドバージョン 第7章 Intermission 水音
 「……てっ……」
 猪瀬は右手の人差し指を見つめる。指先から血が流れていた。抱いているギターの二弦が切れたのだ。
 猪瀬はギターを持ったまま立ち上がり、新しい弦を取りに行こうとしたが、思い直してギターを置き、ドアノブに手をかけた。

 (何時だ?、今)
 純也は時計を見る。外は暗い。
 (九時。半日以上も寝てたのか。とても眠れないと思ったのにな……)
 「腹減った……」
 純也は声に出してみる。
 (喉も渇いたな)
 純也はベッドから飛び降り、ブースを這い出た。

 亮平は、天井を見つめている。
 (消えてなくなりたいと思っても、目が覚めたらやっぱり僕はここにいる。いつだって。……まあ君……)

 将大は夢遊病のように、目を閉じたまま布団を押しのけ、体を起こす。
 (お父さん……僕……)

 暗い廊下を、猪瀬はいつになく険しい顔をして歩いていた。
 (ん……?)
 少年の、悲鳴のような声が聞こえた気がした。
 (気のせいか?)
 いや、次第にはっきりと聞こえてくるようだ。言葉は、わからないが……。
 「何だ……?」

   †

 純也は目をこすりながら、コミュニティスペースの方向にふらふらと歩いていた。次第に、明確に水音が聞こえるのを意識した。
 (今頃、誰かシャワー使ってんのか。俺ももう一回浴びようかな)
 純也はだんだんとはっきりとしてくる意識の中、足取りを速めた。
 浴場のドアを開ける。

 (電気ついてないじゃん……)

 電灯を点けた純也の視界に映ったものは、浴槽に腕を突っ込んでうずくまる少年の姿。水栓が開いたままで湯を注ぎ続ける蛇口、浴槽の湯にもくもくと広がる赤黒い煙だった。
 息を飲んで駆け寄り、湯につかった腕を引き上げ、純也は手首の無数の傷と流れる血を見てめまいを覚えた。

 「ゆう坊、ゆう坊! 誰か! ゆう坊ッ、ゆう坊が死んじゃう! 誰かぁッ!」

 純也の叫びが、湯気のけぶる浴場に、響き渡った。
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