僕は知っている
第2章 第二章 友也と唐川-1
唐川はホテルの名前しか告げなかったが、タクシーの運転手は迷うことなく隘路をくねくねと折れて、うらぶれた通りのビジネスホテルの前に車をつけた。時間にして十五分か二十分というところだ。
二人は入り口の自動ドアをくぐり、友也は本能的に唐川の後ろに隠れて、さらに帽子のつばを下げて顔を隠した。
フロントでは最低限の会話があり、唐川は(常用している)でたらめの住所氏名を紙に書いて、ルームキーを引き替えに受け取った。二人で窮屈なエレベーターに乗り、402号室を目指す。
二つのベッドと、備え付けのデスク、小さなコイン式テレビ、バスルーム。三畳程度の、小さな部屋だ。ベッドが床スペースの大半を占めているような。窓からは他のビルの壁しか見えない。
「先にシャワーを浴びなよ」
ちょっと間があった。
「……あの、僕いいです」
汗はすっかり引いてしまったし、とでも言いたげだ。
「いいから入んな。物事には手順ってものがあるんだからさ」
アナルセックスもやるし、フェラチオもやる。つもりだ。汗臭いセックスも時にはいいが、この子とやりたいのはそういう感じじゃない。
唐川はいつになく穏やかに言ったつもりだったが、少年はだいぶ怯えてしまったようだ。
「……やっぱり初めてなのか?」
「いえ、その……こういうところでは、その……」
しどろもどろだ。まあいい。初めての段取りで進めていこう。
「一緒に入ろうか。狭いけどな。先に裸見せてもらうよ。こっちのベッドに脱いだ服を置きな」
「……はい」
少年は狭い部屋で、唐川に背中を向け、服を脱ぎ始めた。やはり幼い。肩の曲線は柔らかく、まだ内なる筋肉は、二の腕や肩などではほとんど主張を始めていない。薄い脂肪に覆われて、静かに、間近に迫っているであろう爆発的な成長の時を待っている。上半身裸になり、ためらいがちにズボンに手をかけた。ブリーフごしの臀部は、本当に柔らかそうで頼りなげだ。全身が白い。その肢体は今、全体にやや朱に染まっている。少年は靴下のみの裸体になった。ズボンやシャツは、丁寧に伸ばされ、畳まれてベッドのシーツの上に置かれた。
唐川は友也に静かに歩み寄った。肩に触れられた彼は、びくりとして振り向き、唐川を見上げる。
「見栄を張ってるが、初めてだろう? 優しくやってやる。俺としちゃ、珍しいことなんだぜ」
5
NIGHT
LOUNGE5060