僕は知っている
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成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/18
最終更新日:---

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僕は知っている 第8章 第七章 僕と唐川、そして友也-1
「つまり、僕が友也君を動かしているとか、黒幕であるとか、そういった話ではないのです。今僕が果たしている役割は、いわば使い走りであり、僕の方が友也君の意志に従って行動しているのです」
 それは確かに僕の頭に、一瞬よぎった考えだった。
「小学生のお友達の意志で、あなたが使い走りを?」
「それ以上の質問は、無駄だと思います。会えばわかりますよ。友也君も言っていたでしょう?」
 僕はそれきりあきらめて黙った。
 国道に出ると、ポルシェは本領を発揮して、猛烈な加速力を見せたが、それはほんの短い時間のことだった。都内の道も、何時であろうとどこもかしこも混んでいる。スポーツカーに向いた道なんて、この日本には、北海道を除いてそうたくさんはない。

 唐川は途中何度も腕時計(ロレックスだ)を確認していて、時間に几帳面な男のようだったが、それでも目的地のマンションに到着したのは二時七分過ぎだった。日本には車が多すぎる。
「これが部屋の鍵です。部屋は三階、三○二。表札は出ていません。エントランスホールに入るには暗証番号が必要ですが、メモしないで覚えて下さいね。ただの四桁ですから」
 唐川は僕に鍵を渡し、暗証番号を耳打ちした。
「あなたはついて来ないのですか」
 僕は唐川に聞いた。
「行きません。五時きっかりにまたこの場所にお迎えにあがります。それまではあなたと友也君、二人だけの時間です」

 唐川は友也に護身用の無線スイッチのようなものを持たせている。それは友也のズボンのポケットに入っていて、客が危険な行動に出た時はそれで合図を送る段取りになっていた。唐川はすぐにその場に乗り込める場所で、客の「行為」の終わりを待つ。だが警報ボタンが活躍したことは一度もない。紹介者が「筋者」だとわかっていて、あまり無茶をする客はいない。ただ、あとで友也から苦情を聞いて、痛めつけられるはめになった客は何人かいる。性行為は時に、いやしばしば、理性の喪失をともなうものだから、そういうことも起こり得る。

 僕はおそらく高級、と呼べるレベルのマンションの前に立ち、暗証番号を押してエントランスホールに入った。そこにはすでにエアコンが効いており、宅配ボックスが整然と並んでいる。奥にエレベーターがあった。広いエレベータだ。引越の荷物を運ぶ際などのことも考慮されているのだろう。

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