僕は知っている
僕は知っている
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/18
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
僕は知っている 第7章 第六章 僕と電話の少年
 小中学生達の夏休みが、明けて間もなくの休日だった。もっとも、今の僕には休日も平日も関係なかったが。何か仕事を探さなくてはならないと、焦っていた折りだった。

 久しぶりに電話が鳴った。僕には予感があった。
「もしもし、黒崎先生?」
「君か、ずいぶん久しぶりだね」
 僕は皮肉っぽく言ったつもりだった。
「僕のこと、思い出した?」
「いや」
 僕は答えた。
「実はあれからかなり真剣に考えてみたんだ。でもやっぱりわからない」
「……そう、それはとても残念。質問を変えていいかな」
「お好きに」
「この問題に決着をつけるには、僕たちはどうしたらいいんだろう」
「どうしたらいいんだろうね」
 僕はやけっぱちに少年の言葉を復唱した。
「また質問を変えていい?」
「どうぞ」
「バイクにはもう乗らないの?」
 僕はしばし沈黙した。もう数年来、僕の四〇〇ccのホンダは、埃をかぶっている。鬱の時期以降、乗っていない。
「たぶん乗らないね。気分が乗らないんだ」
 僕は動揺しながら、しゃれにもなっていない返事をした。受話器の向こうでくすくす笑いが聞こえた。
「また質問を変えていい?」
「ああ、どうぞ」
「僕の声は嫌い?」
 僕はしばらく考えた。
「会話の内容を抜きにして、純粋に声のことだけで言うなら、はっきり言って好きだね」
「疼く?」
 僕はちょっと受話器を見た。そして捨て鉢に言った。
「疼くね」
「声から僕の姿を想像して、会ってみたいとか思う?」
「……どうだろうね。声の魅力と外見は、必ずしも一致しない」
「会ってみたらダメだった。それならバイバイしよう。それでも会ってみる気はない?」
「ダメじゃなかったらどうなるんだろう」
「僕とセックスする」
 僕は受話器を見た。手が汗ばんできている。
31
最初 前へ 28293031323334 次へ 最後
ページへ 
NIGHT LOUNGE5060
ページの先頭へ