僕は知っている
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成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/18
最終更新日:---

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僕は知っている 第6章 第五章 僕と黒崎カラス
 僕は古びた漫画の単行本を、仕事場の机の上に三冊並べていた。
 「M.A.D.POLICE STATION(エム・エイ・ディー・ポリスステーション)」は、黒崎カラスの唯一のヒット作であり、連載は二年あまり続いた。
 連載開始は平成二年。まず読み切りが載った。少年誌なのに主人公は少年ではなく、作風は一口に言えばシュールなギャグマンガで、今読み返してみると作者自身にすら、わけがわからないところが多々ある。
 当時は自身、エネルギッシュでラジカルで、発禁上等、くらいの気持ちで筆を執っていた。
 当時、いやそれよりも以前から今に至るまで、エロスやバイオレンスを前面に押し出した漫画(特に少年向け漫画)は、たびたび「良識ある識者」だとか「PTA」の格好のターゲットとなった。今になると相手にするのもバカバカしいし、残念ながら自分の方が出版界自体からほとんど相手にされなくなってしまったが、当時はケンカする気満々だった。内容空虚な連中が、自己目的化した「子どものための浄化された世界」とやらのために、具体的な方策など何も持たないから(存在し得ない世界を目指すのだから当然だ)、とりあえず攻撃する対象を見つけて自分たちの存在意義を確認する。そうした空虚で想像力の欠如した連中が、表現やアートを痩せ細らせていくのだ。

 「M.A.D.POLICE STATION」は、かなり暴力やエロスを内包した作品であると、描いていた当時は、自分では思っていた。だが今読み返してみると、ただわけがわからない。当時あんなに多くの、少年を初めとする多くの人々の心をつかんだはずなのにだ。
 そして当時、この作品はPTAや識者の攻撃の、主なターゲットにはならなかった。確かに露骨な女性や少女のヌードは出てこないし、わいせつなジョークも出てこない。流血や激しい暴力描写もさほどない。ただ主人公以外に毎回週替わりで出てくる少年には、必ずヌードのシーンや性器描写があった。そういうのを描く度に、黒崎は自分の秘められた性的嗜好が露呈しやしないかと少し不安になったものだったが、少年愛はマイナーすぎて、誰もそんなところに注目しなかった。

 この作品が、平成三年、「少文館漫画賞」を受賞した。電話の少年が言ったように。

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