僕は知っている
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成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/18
最終更新日:---

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僕は知っている 第1章 第一章 僕と電話の少年
「もしもし、僕は確かに黒崎ですが、そちらはどちら様でしょうか」
 相手から名乗る様子がないので、僕は相手が子どもだろうと、いちおう慇懃に名前を訊ねてみる。
「僕が誰か、わからないの?」
 馴れ馴れしい口調だ。僕は一応考えてみる。しかしやはり思い当たらない。誰かいたずらを仕掛けそうな知り合いの少年を思い浮かべてみるが、どうも違うように思える。それにこれが何かのいたずらになっているだろうか。
「わからない。ねえ、申し訳ないけど僕は今……」
「先生には僕がわからない。でも僕には先生のことがわかる」
 僕は思わず受話器を耳から離して気味の悪い虫でも見るように見つめ、もう一度耳に受話器を当てた。
「僕を知ってるっていうのか。僕の何を」
「現在三十七歳と二ヶ月。平成三年、少文館漫画賞受賞の、プロの漫画家」
 三十七歳と二ヶ月? 僕は顔をしかめてもう一度受話器を見た。そして再びそれを耳に当てる。
「君の言うとおりだがずいぶんそれは古い話だ。君の声はどう聞いても小学生に聞こえるけど、君はその僕に一体なんの用事があるっていうんだい?」
 僕は腹立ちよりも不気味さを感じてきていた。
「用事? まず何よりも、僕は先生に僕を思い出してほしいんだけど」
 ここに至って僕は完全に言葉を失った。
「大切なお昼ご飯が台無しになっちゃうよ」
 それだけ言い残して電話は切れた。
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