Miss Terry のノート
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発行者:JUKU KIDS
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ジャンル:ホラー・オカルト

公開開始日:2011/09/11
最終更新日:2011/09/29 12:46

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Miss Terry のノート 第13章 第三話 顔②
途方もなく、恭子は駅前を十五分ほどブラブラした。特別やることもない、見るものもない。改めて自分の無趣味を悔やんだ。そして、あの男もさすがにあきらめただろうと、駅に戻ることにした。夕暮れの駅前に女一人でぶらついていてもむなしいだけだった。恭子は目をふせるよう、ひと目につかぬように駅舎に戻った。
 駅の入り口付近まで来た。すると、
「君!」
 恭子はびっくりして立ち止まり、顔を挙げた。目の前に男が立っていた。振り返って、そのまま元来た方へ走りだした。
 しかし、男は執拗に追ってくる。こんな駅前の人通りの多い中での追いかけっこが始まった。
「待って!」
 なぜ追いかけて来るのだ。わざわざ向かいのホームから、走って来て、反対方向の電車に乗って自分の知らない駅でいっしょに降りて、一体何だというのだ。
走りながら、恭子は悟った。こんなハイヒールを履いて、人ごみの中を走っても追いつかれるに決まっている。人気のない場所に追い込まれるより、むしろ人がたくさんいるのだから、いざとなれば助けを求めればいいのだ。そう思って恭子は速度を落として立ち止まった。何年ぶりに走ったのか。ハアハアと肩で息をして、手を膝にのせた。
 男も恭子の近くまで来て、同じような姿勢をとって肩で息をしている。
「な、何ですか?」
「あ、怪しい者じゃない。落ち着いて…」
「十分怪しいんですが…。」息が切れて、しゃべるのが辛い。
「バ、バッグを…」男はバッグを要求した。
「はあ?」
「違うんだ。バッグを…」
「バッグ?」
「バッグを…」
 男は手を伸ばしてきた。
 恭子は恐る恐る数歩退き、肩に掛けてあるバッグを降ろし、左手に持ち替えて、ゆっくりと中を覗こうとした。
30
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