好きになったヒト
好きになったヒト
成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第11章 未練5
調査を終えて、ユズルさんの会社の前に立つ。
今日で最後にしよう。ユズルさんに会えても、会えなくても。
タカヤさんには遅くなるから先に帰ってもらうように連絡を入れた。
季節はもう夏だ。随分日が長くなった。7時だというのに、まだ明るい。
ビルに出入りする人の中にユズルさんの姿を探しながら、人間観察をする。さすがに何度も訪れていると、出入りする人の顔も覚える。あの人はきっとここの社員なんだろうなとかあの人はたぶん取引先の人だな、とか。あの二人はいつも一緒にいるな、など。結構飽きずに見ていられるものだ。

辺りが少し暗くなり始めたとき、ビルからユズルさんが出て来た。
一人だ。
俺の立つ横断歩道の向こう側で信号待ちをしている。

どうしよう。こっちへ来る・・・気付かれたら。
動かないと。

そうは思うものの、ユズルさんの姿に釘づけになって身動きが取れない。これで、最後。この人のことを見られるのも・・・胸が締め付けられる。

信号が変わって、ユズルさんは人ごみにまぎれながらこっちに向って歩いて来る。
俺は、気付かれないよう視線を外す。
ユズルさんは横断報道を渡りって、俺の後ろを通り過ぎる。

気付かれなかった。
俺はその場から動けない。
俯いた瞼が熱くなるのを感じる。
歯を食い縛る。
横断歩道の誘導音が遠くに聞こえる。
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