好きになったヒト
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成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第11章 未練5
俺は何も言わずに、そのビールに手を伸ばす。

飲みながら、自分の身の程について考える。アルコールの入った思考のあやふやな頭で考えてたって答えなんか出るわけない。


「ちょっと、何やってんですか、あんた達。ここは職場ですよね。」
いつもより早く出勤してきたセイジさんの罵声で、叩き起こされた。

フロアに散在するビールの缶。俺とタカヤさんは冷蔵庫の中にあったビールのほぼすべてを飲み干した。

セイジさんは、床に転がっている缶を拾い集めている。

「ああ、悪い・・・。」
そういって、俺の横でテーブルに伏せいたタカヤさんが体を起こして、俺の肩を揺する。

「起きろ、マナト。朝だ。」


俺はぼーっとする頭をなんとか持ち上げて、立ち上がる。
テーブルの上の缶を集めて、セイジさんが持っているゴミ袋に入れる。

「すみません。昨日、雨が酷くて帰れなくて・・・。」

「飲み過ぎだ。それに、この惨状はないだろう。ここは仮にも職場だぞ。二人とも死んでるのかと思った。」
セイジさんは呆れてボヤく。

「はい・・・。以後、気を付けます。」

俺とタカヤさんは一旦自宅に戻ることにして、事務所を出る。
雨上がりの日差しが目に染みる。

早朝の自宅に帰ると、両親が朝食を食べていた。シャワーだけ浴びて、着替えてまた家を出る。

親父には新しい仕事が大変なのかと心配されて、母さんには朝食を食べなさいと世話をやかれた。

確かに、前の仕事と比べると俺の生活リズムはめちゃくちゃになっていた。このまま、家に居ても心配を掛けるだけかもしれない。やっぱり、近いうちに出た方がいいな、と考える。

職場に戻ると、タカヤさんは既に戻っていて。フロアでセイジさんと打ち合わせをしていた。俺もそこに加わって、自分の調査予定を報告して、調査に向かうため事務所をでる。

目的地へ向けて移動する途中、昨夜から自問している問いが再び頭に浮かぶ。
自分の身の程。

“なにが正しいかなんてわからない。”
そうかもしれない・・・。
けれど、俺は自分の為に大切な人が傷つくのは嫌だ。あの時、藤原さんがどう思っていたかは分からない。けれど、傷付いたことは間違いない。最後の見た時のあの表情。今もしっかりと覚えている。

自分のしたことの結末が自分の大切な人を傷つけた。
あんな風に関わるんじゃなかったとさえ思えてくる。
だったらもう・・・。

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