好きになったヒト
好きになったヒト
成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第11章 未練5
「へ?」

「いえ、なんでも。忘れてください。」

俺は仕事に戻ろうとタカヤさんに背を向けて椅子に座る。

タカヤさんが俺の背後に立つ。

「おまえの所為じゃねえよ。」
そう言って、俺の後ろから手を伸ばしてキーを叩いて、俺が開いていたN高のデータを閉じる。

タカヤさんの手が俺の頭にポンっと置かれる。
「そんなこと言いだしたらキリがねえだろ。おまえが踏み込んだから救われた若者がいた。おまえが踏み込んだから、将来を棒に振った医者がいた。なにが正解かなんてそんなのわかんねえよ。」

でも、でも、俺は俺にとっての正解は・・・こんな結果じゃなかった。

そうでも、ないか。結婚が決まっていたなら、藤原さんは俺と離れるべきだったんだ。案外自分で志願したのかも。
今さら胸が痛んだりはしない。

タカヤさんは着替えて来ると自室へ入っていった。
俺は一人キーボードを見詰める。

俺は弱くなった。
子供のころは、もっと強かったのに。
この前久々に開いた歌詞を書いたノートには、荒け削りで子供じみてはいても意思めいた何かが感じられたのに。
今の俺は・・・こんなに簡単に折れてしまう。
あの頃は一人でも立っていられたじゃないか。

Tシャツとスエットに着替えたタカヤさんが部屋から出て来る。人に準備がいいとか言っておきながら、自分だってちゃんと着替えをおいてるじゃないか。

冷蔵庫からビールを出して、一本を俺に投げる。
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