好きになったヒト
好きになったヒト
成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第11章 未練5
「そういや、本名だったんだな。俺はおまえもてっきり偽名なんだと思ってたよ。」

「え、おまえもってことは、タカヤさんは違うんですか?」

「いや、俺も本名だよ。藤原さんの話だよ。」

「ああ。びっくりした。俺が藤原さんの紹介で入ったからですか?」

「うん。」

「ああ、そうだ。言い忘れるとこだった。俺とおまえがタカヤとマナトだってのは伏せる。そんで、俺が佐藤でおまえが伊藤だ。セイジは後藤な。」

「え、そうなんですか?そういうことは早く言ってくださいよ。」

「悪い。こないだ重役と話してて決まったんだ。忘れてた。」

「了解しました。佐藤さんですね。やっぱ藤使うんですね。」

「ああ、慣例だからな。」

俺は頷く。

事務所の近くのコインパーキングに車を止めて歩く。
引退してから一度も来ていない。
懐かしい街並み。いくつかテナントが変わっている。

タカヤさんと一緒にエレベータに乗る。

「懐かしいな。」
さすがのタカヤさんも感慨深いって顔してる。

ドアのところのセキュリティも懐かしい。
タカヤさんが番号を押す。

「俺とおまえの解除キー復活してっから。昔の覚えてるか?」

「はい。大丈夫です。」

「俺入るから、おまえも確認兼ねて自分で開けろ。」
タカヤさんはそう言って中に入るとドアを閉めた。

俺は番号を押す。しっかり覚えてる。
カチャンっとロックの外れる音。
ドアを開けるとタカヤさんがうんと頷きながら立っている。

部屋ドアの前に立つ。

「行くぞ。」
タカヤさんが俺を見る。
俺は頷く。
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