好きになったヒト
好きになったヒト
成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第10章 未練4
「佐々木。」
外回りから戻った俺は先輩から声を掛けられた。

「はい。」

「ここおまえの担当だろう。問い合わせが入った。」
そう言ってメモと資料を渡される。
目を通してハッとする。
単純なミス。

「すみません。俺・・・。」

「うん。今回は俺が手配しといたから今度から気をつけろよ。」

「え・・・。」
俺は先輩の顔を見る。
自分のミスは自分で拭う。それが社会人ってもんだ、いつもそう言ってアドバイスはくれても手は貸してくれない。最初はしんどかったけれど、後になって思えば一番手っ取り早く成長させる方法なんだと分かった。
俺なんかはついつい後輩の仕事ぶりが気になって手を出してしまう方で、現に高校生のときはそうだった。

そんな先輩がどうして。

「ちょっと来い。」
先輩に連れられて、喫煙室へ向かう。
先輩はコーヒーを二本買って、一本を俺に渡す。
喫煙室は空だ。

「なんかあったのか?」

「え・・・。」

「さいきん、おまえ変だぞ。上の空っつーか。」

やばいな。そんな酷いのか俺。

「それに、なんかやつれってっぞ。ちゃんと喰ってんのか?実家だったよな。」

どう答えようか迷う。
そう言われて初めてさいきんロクに食べてないことに気が付く。
さいきん、食欲がないんだ。

「えっと・・・。」

「仕事、じゃねーよな。」

「なんでも・・・ちょっと疲れてるだけです。すみません。」

「佐々木。おまえちょっとは俺を頼れよ。」
先輩は俺の顔を覗き込む。
本当に心配してくれてるという事が見て取れる。

「あの、俺、そんな酷い顔してます?」

「・・・ああ、けっこうな。」

「はは、やっぱ、そうですよね。」
思わず苦笑が漏れる。
なにやってんだ、俺は。
俯いて片手で目を覆う。
“マナト”そう心の中で呟く。
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