好きになったヒト
好きになったヒト
成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第9章 未練3
「流石だな、バンドのときも人気あったもんな。」
「俺、買っちゃったし。」
他の奴が口を挟む。

「え、まじ?」
俺はそいつを見る。

「へへ、いい歌だよな。歌詞自分で書いてんだな。」

「ああ。曲はアツキさん。」

「おまえ、いま女いんの?」

「え、いや。」

「じゃあ、誰に向けて書いてんだよ。ラブソングだろ。」

「誰でもねえよ。想像力だよ、想像力。」
俺は適当に返す。

「寂しいやつだな。」

「うるせえ。」

「紹介してやろうか?」

「いいよ。間に会ってる。」

「はは。女いない癖に。」

「うるせえって。」

そんなやり取りでみんなに散々いじられた。
全く、ほっといてくれ。

寂しい、か。そうかもな。
ライブハウスを出て、駅へ向かう。
なんとなくそのまま家に帰る気になれず、別の方面の電車に乗る。

目的の駅で降りて最終電車の時間を確認する。
まだ、時間がある。
行って帰ってこれるな。
そこから夜道を歩く。
この道、一度だけ二人で歩いたな。いつもは車だったけど。
駅から20分ほど歩いた広い公園の一角が高台になってる。
俺とユズルさんはよくここへ来た。

二人で座ったベンチ。
一人で座って夜景を眺める。
ここへ連れて来てくれたのはユズルさんだ。
ぼーっと二人で座ってたっけ。
今思えば仕事で疲れてる俺を気使ってこういう場所を選んでくれてたんだな。
外出しても街の喧騒から離れて、二人で過ごせる場所。

いつも俺の事を労わるように傍に居てくれた。
俺はそれに甘えてた。

それから俺は時々に足を運ぶようになった。なんとなくユズルさんの温もりを感じられるような気がして。
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