好きになったヒト
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成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第8章 未練2
いつもは外回りをしているが、今日は午前中に来客があったので昼飯を会社で取ることにした。

ビルを出る。コンビニへ向かって歩く。

「佐々木くん」

後ろから声を掛けられる。
同じ部署の女の子たちだ。
女の子といっても俺より先輩だけど。

「あ、どうも。」

「どこ行くの?」

「ああ、昼飯買いにコンビニまで。」

「そっか、今日は出ないの?」

「いえ、昼からはでますよ。」

「ねえ、ねえ、佐々木くんって彼女とかいるの?」

「え?」

「ごめんね、いきなり。でも、みんな知りたがってるんだ。でも社内じゃなかなかそんな話ししてる暇がないでしょ。佐々木くん、外出多いし。」

「えっと。」
どう答えようか考える。いると言っておいたほうがゴタゴタしなくてすむんだろうな。でも、嘘付くのもな、見栄張ってるみたいだし。

「いませんよ。」

「えー。なんで?」

「え・・・なんでって、言われても。なんででしょうね。」
俺はははっと笑う。

「そっか、そうなんだ。どんな子がタイプなの?」

「えーっと、タイプとかはあんまり。」
マナトみたいなかわいいやつ。
と、頭に浮かぶ。

さっさと買い物を済ませて、お先にと一人店を出る。
自分の頭に浮かんだ言葉に、ため息がでる。
いい加減にしろよな、俺も。
マナトは俺の事なんか忘れちまってるのかな。
自分から距離を置いておきながら、今さらながらマナトが恋しくなる。

散々荒れて、挙句に友達とヤろうなんて血迷って、でもできなくて、撃沈。


それから数週間。
社内の女の子からよく声を掛けられるようになった。
俺がフリーだって広まったか・・・。

「佐々木さんですよね。」
自販機の前でジュースを買っていると、声を掛けられた。

「え、ああ、はい。」
ああ、この子知ってる。かわいいって評判の子だ。

「突然すみません、私・・・」
「知ってますよ。竹田さんですよね。」
「え、」
「有名ですよ。」
俺はにこっと営業スマイルを返す。

「有名って、どういうことですか?それに佐々木さんだって有名ですよ。」

「ああ、俺の有名はドジでってことですよね。あ、でも有名人どうしですね。」

「違いますよ。」
否定しながらも、彼女はクスクスと笑う。
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