好きになったヒト
第7章 未練1
「年明けの1月に入ろうと思ってる。」
俺は差し出された見取り図を見る。
「はい。けっこうちゃんとしたとこですね。」
俺は、高校の時使っていた事務所のようなアパートっぽいのを想像していたが、ちゃんとした事務所だった。
「ん?まさか、高校んときの事務所みたいのだと思ってたのか?」
図星。
「はい、まあ。」
「常勤すんだぞ。あれじゃ辛いだろ。」
「確かに。」
「ここが俺の個室。で、おまえがこっち。そんで、もう一人がここ。こっちは重役室、会議室はねえからフロアでいいだろ。どうせしばらく人増えねえし。」
「個室貰えるんですか。」
「ああ。最初だけかも知れんが形だけな、大方フロアで顔つき合わせて仕事になると思うけどな。」
「もう一人は決まりましたか?」
「ああ、今度紹介するよ。そいつも今は学生なんだが、自分で会社立ち上げてるからこっちとの掛け持ちになりそうだ。」
「へえ、すごいですね。どんな会社ですか。」
「ネトゲ関係。」
「情報処理系?」
「そうなんだろうな。ちょっと変わってっけど、そういうのも必要だろ。」
「はい。」
「重役は、普段はいないくて形式上だ。前に話した三人な。始動したら顔合わせするから。」
「タカヤさんの役職はどうなるんですか?」
「所長代理。」
「代理ですか。」
「ああ、学卒のペーペーが所長っつっても笑われるだけだろ。最初は、課長くらいにしとくかって言ってたくらいだ。で、おまえは課長な。」
課長?俺が?
「え。平でいいですよ。課長なんて。」
「いやいや、落ち着いたらスタッフ増やして育ててくから、もう一人の奴も課長付けるし。」
「全員役付きですか。」
「そういうこと。」
注文した食事が運ばれてくる。
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