好きになったヒト
第7章 未練1
ユズルさんとはずっと会わないまま。
それでも俺は、歌い続けてる。
今日もステージに立つ。
『あなたにこうして出会えて
心が熱を帯びた
二人の心が通じたことは
希望だから
毎日見ていた景色なのに
こんなに違うなんて
麗しの人 どこへ行くの
あんなに強く抱きあって
手に入れた温もり
その希望を抱いたまま どこへ
周りの全てが変わっても
変わらないものだってある
変わりたいの 変わりたくないの
好きにしたらいいよ どんなでも
知ってるでしょう 代わりなんていない
あなたに想いを馳せて
心が叫ぶ
二人の身体が離れていても
消えはしない
繰り返し抱き合った熱は
冷めることはない
至上の人 どこにいるの
こんなに呼んでも
まだ応えないつもり
あなたの残した安らぎはいまも ここに
俺の呼び声が聞こえるはず
どんなに耳を塞いでも
騒音の中でも
耳を澄まさなくても
もうそろそろ応えたら?
聞き飽きたころでしょう?
聞こえているんだ そこに抱いている希望に
それはもうあなたの一部となったでしょう』
ユズルさん。応えて。
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