好きになったヒト
好きになったヒト
成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第5章 恋愛4
俺は3年になって就活まっただ中。
マナトのことを考える余裕はなくなった。
連絡はしないまま、俺は半ばこの中途半端な状況に安らぎのようなものを感じていた。
誰かと一緒にいると相手との関係の中にある自分自身の姿を突きつけられているようで、苦しくなる。
一人で居ることの寂しさも今は忙しくて紛らわされているし。


そんな状態のまま秋がきた。
風の匂いが変りはじめ上着を着込み出掛けると、どこか人恋しくて俺はマナトが出ていたライブハウスに足を向けていた。
ライブハウスと同じ建物にあるレコード店に入って張り出されているライブの予定を眺める。

マナトの名前が出ている。
来週ライブなのか。
マナトは歌が上手い。
最初聞いたときは、本当にびっくりした。
歌っている人間はたくさんいるけれど、必ずしも歌がうまいとは限らない。
定評があるのは知っていたので、下手だとは思ってはいなかったわけだけど、マナトと俺が付き合っているというひいき目を差し引いたとしても俺は十分にあいつの歌を好きになっていただろう。
CD出したらいいのにとよくマナトに催促したけれど、あいつはそんな気はさらさらなくて俺は単に自分がマナトの歌をいつも聞けたらと思っただけの話なんだが。
いまもし、あいつのCDが出ていたら俺は買うのだろうか。


翌週、俺はライブハウスに足を運んだ。


ステージから死角になりそうな位置を探す。
久々に見るマナト。ステージのうえにいるあいつはいつも少し違う。あいつの本性が少し強調されるように繊細さがにじみ出る。その雰囲気があいつの歌をさらに引き立てる。

聞いたことのない前奏、アレンジを変えたのか・・・?
マナトが歌う曲は決まっていて数曲しかない。全部知っているはず。

マナトが歌い始めて少しして、知らない曲だと気がつく。


歌詞を聞いて泣きそうになる。
来るんじゃ名じゃった。

俺は、その曲が終わると同時に出口へ向かう。


フロアのドア出たところ、声を掛けられた。

「もう帰るの?」

俺は声のした方をみる。

「あ、どうも。」
アツキさんだ。俺は咄嗟に、笑顔をつくる。
就活で笑顔が癖になってしまった。

「最近きてなかったね。」

「はい、ちょっと忙しくて。」

「新曲の披露だからきたの?」

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