好きになったヒト
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成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きになったヒト 第5章 恋愛4
就職しないと。
頭を切り替える。まずはちゃんと就職を決めてから考えよう。


最後に会ってから1カ月後、マナトから連絡があった。
俺はバイトで電話には出られなかった。

メールが来てる。
“会いたい。”
一言だけ。

胸が痛むけれど、俺は自分の考えをマナトにメールした。
“少し冷静になろう。俺は就活があるし、今揉めたくない。
だから会えない“と。

就活の厳しい現状に追われて、マナトのことは頭の片隅に追いやって都合よく目隠しをした。

サークルの女の子と関係を持った。
付き合っているわけでもなく、なんとなくだ。

女の子の身体は柔らかく、やさしく俺を包み込む。
マナトと付き合いだしてから攻められるばかりだったけれど、女の子を相手に攻める側に回ってそれなりの充実感もある。
マナトに抱かれることが嫌だったわけではないけれど、やはりこっちの方が自然だと思う。
生物的な性欲は満たされるような気がする。


俺は、企業説明会の帰り道、公園で缶コーヒーを飲みながら空を見上げていた。
もうすぐ4月だというのに寒い、空は鉛色。
この公園は、高校生のときマナトが泣いてる俺を抱きしめた公園だ。
説明会で近くまできたら、自然に足が向いた。事務所にはもう行けないけれど。

雪がチラつくかもな・・・。缶コーヒーはホットだけれど、それでも手は冷たい。
あいつはどうしているんだろう。
そう言えば、あいつはもうすぐ引退だな。

あいつの引退祝、行ってやれないかも・・・。
漠然とそんな言葉が浮かぶ。
俺はあいつとどうなりたいんだ。
目を閉じる。

今の俺ではだめだ。

その間にマナトに他に相手ができるかもしれない。
俺達は二度と戻れなくなってしまうかもしれない。

コーヒーを飲みほして、ベンチから立ち上がりゴミ箱に缶を捨てる。

行こう。
立ち止まっている時じゃない。
早足に歩く気分でも走る気分でもない。
かろうじて自分が着地している地点だけに踏みしめる感覚がある。
今の俺には、これだけだ。
もっと周りを固めないと、傍らに人を歩かせる余裕なんてない。
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