好きなヒト
好きなヒト
成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きなヒト 第13章 再生2
2日後、俺はマナトの様子を見に事務所を訪れた。
今週は当番だと前に会ったときに言っていた。

久々だなと、少し懐かしさを覚えながらドアを開けると、藤村さんがいた。

「あれ、ユズルくん。どうしたんだ?久しぶりじゃないか、元気そうだね。」
藤村さんはいつもの調子だ。

「ああ、ちょっと、マナトに用があって・・・。」
マナトの方を見る。

俺がマナトの名前を出しているのに、マナトは考え込んでいる。

「マナト?」
「ああ、ユズルくんもちょうどよかったよ。藤原さんが戻って来てるんだ。」
しまった。そうだ、ここから知れるっていう可能性を忘れてた。
「あ、はい。そうなんですか。」
「ああ、そうなんだ。みんなのこと心配してたよ。会いたいっていってたんだけど、スケジュールが合わないみたいなんだ。」
「へえ、忙しいんですね。」
俺は適当に返事を返すけれど、マナトは固まってる。
これ以上藤村さんにしゃべらすわけにはいかない。
「あ、そうだ。藤村さん。警察官になるのって難しいんですか?」
「え?どうしたの。急に。」
いきなり話題がかわったので、藤村さんはきょとんとしている。
「友達がちょっと興味あるみたいで。」
「まあ、なりたいならまず試験に受かることと、後は体力かな。」
「そうなんですか。藤村さん体力あるようには見えませんけど。」
「え、そんなことないよ。僕は脱ぐとすごいんだから。」
はははっと楽しそうだ。
「今日はゆとりがあるんですね。」
「え、ああ。いや、もういかないとやばい、やばい。じゃあ、みんながよろしく言ってたって伝えとくよ。」
そう言って出て行った。俺もマナトもよろしくなんて一言も言ってない。

「マナト・・・。」
マナトは黙ったままだ。
「会おうなんて思うなよ。」
「・・・わかってる。」
「なら、いい。今日は早めに閉めて、飯食って遊ぶぞ。」
「・・・はい。」

それからマナトの口数は少なくずっと上の空だった。
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