好きなヒト
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成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きなヒト 第11章 迷う心4
「補講?」
「はい、赤点取っちゃって。」
「そっか、そういうこともあるよ。」

マナトは、ははっと笑って見せるけれど元気がない。

「で、調査依頼ですか?」
「うん、そうみたい。資料出しといたから、必要だったら俺も入るよ。」
「?俺がメインですか?」
「ああ、そうみたい。掛ったの、今日の午前中だから。」

マナトは資料を広げて目を通し始める。
ふと顔を上げて俺の方を見る。

「ん?」
「ユズルさんは今日はどうしたんですか?」
「え?」
「どうして、ここに?」
「ああ、えっと、おまえに会いに。」
「俺に?」
「ああ、藤原さん異動になったって。」
「はい。タカヤさんから聞きました。それが?」
「うん。マナト大丈夫かなって。」
「え・・・。」
マナトは驚く。
「あの日、お前が追いかけて来た日。あの日が最後だったんだろ。あれから藤原さんに会ったか?」
「あの・・・。」
「話せた?」
俺は続ける。
「ユズルさん」
「前に、みたんだ。おまえと藤原さんが二人でいるの。」

マナトは手に持っていた資料を落とした。
A4のコピー用紙がハラリとテーブルの上に落ちる。

マナトは少し俯く。

「ごめんな、俺の所為で会えなかったんだよな。本当に、ごめん。」
俺は本当に申し訳なくなった。

マナトは黙ったままだ。

「いいんです。わかってて、会わなかったんです。」
「え。」
「あの日帰ってからも何度も連絡がありました。でも、俺・・・。」
「なんで」
「恐かったんです。あの人の口から聴くのが、どうしても嫌で・・・。」
マナトの言葉は弱弱しく、悲壮感が漂う。

どうしよう。
こういう時、どうしたらいいんだ。

「当番も調査も俺が代わるよ。」
「え・・・。」
「おまえはちょっとここを離れてた方がいい。」
「ユズルさん。」

俺はマナトを見て頷く。

「後は俺がやるから、今日はもう帰りな。」
マナトの頭をそっと撫でてやる。

「・・・すみません。」
マナトは小さく呟いた。

「うん、貸しだからな。」
「はい。」
マナトは立ちあがってドアに向かう。

「ああ、そうだ。話したくなったら連絡して来いよ。」
俺は出て行くマナトの背中に声を掛ける。
返事はなかった。
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