好きなヒト
第8章 迷う心1
「ん?」
タカヤが俺を見る。
そんなことを考えながらついタカヤを見つめてしまっていた。
俺は慌てて首を振る。
「なんでもない・・・」
「なんだよ。」
タカヤがにやりと笑う。
「はぁ?」
なんだその反応は。
「俺に見惚れてたな。」
う。
図星。
「んなわけねーだろ、気色悪い。」
タカヤは、ははっと楽しそうに笑う。
「なんか悩んでんなら聴いてやるぞ~」
「え。」
「俺一応年上だしな。おまえ忘れてるだろ、俺がお兄さんだってこと。」
確かに。普段こいつのことを年上と思ったことはないけど。
「ああ、忘れてた。」
「やっぱり」
「なんだよ、年上扱いしてほしいのか。」
「そうじゃねえけど、頼ってもいいぞってこと。一つくらいの歳の差なんてって思うだろうけどな、一年ってけっこういろんなことできるんだぞ。だから、一年分はお前より経験豊富なんだよ。」
確かに、みんな1年があっという間だと言うけれど、その1年でいろいろあっていろいろ変わって成長してるのかも。
タカヤ、そんなこと考えてんだ。
やっぱりこいつ、見た目よかいろいろ考えてんだな。
俺は頷く。
「困ったら、頼むわ。」
タカヤが意外そうな顔をする。俺が素直に首肯すると思わなかったようだ。
「お、なんかかわいいな、お前。いつもそんくらい素直だといいのに。」
かわいいと言われて思わず赤面する。
駄目だ。
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