好きなヒト
第7章 繋がり5
7時、帰っていく学生のグループにについて電車に乗る。
育ちのよさそうな男子3人。講師の悪口を言っている。笑ってしまいそうになるのを堪える。人の話を盗み聴きするってのはそんなに楽しいものではないが、たまに笑える。
さて、三人はいずればらばらになるだろう。どれに付いていくか。
会話の内容や話し方から判断をする。ほんとは顔をよく見たいところだがじろじろ見るわけにはいかない。
一人はよくしゃべるタイプ、あとの二人は片方はそれにあれこれ意見をいっている。もう一人は意見をするよりもあれこれ質問をいている。
俺は質問くんに付いていくことに決めた。これといって理由はない。彼らがあやしいわけでもなんでもないので、こういう場合は直観に頼る、とか言えばちょっとかっこいいが単に考えてもしょうがないと思っただけだ。
彼は次の駅で友達と別れて降りる。俺はそれについていく。距離をとって彼に付いて歩く。しまったな、あのあやしげな病院の前にいた子についていくべきだったな。
判断を誤ったかも。明日はN高の近くで張って、あの子を探そう。
結局、彼の家の近くまで付いて行ったが収穫はなかった。
7時半。俺は事務所へ向かう。8時過ぎには着くだろう。
事務所へ行くと鍵が掛っている。ユズルさんはもう出たのか。藤原さんが来たんだよな、会いたかったな。
中に入って、着替えて、パソコンを開いて連絡がないかチェック。
これといってなにもない。
そのまま日報を打ち込む。昨日の分もつくらないと。アツキさんたちのことは誤魔化さないとならない。
かといってあまり適当なことを書くと帰って捜査妨害になってしまう。
俺はこの前藤原さんに出した計画書を眺める。
まあ、繁華街のほうに調査に入ることにはなっているので、その辺を書くかでも、それでもアツキさんに調査が入るようなことになっても困るな。
とりあえず、もう少し情報が集まるまで保留にしようかな。
昨日の分に関しては情報なしで報告を上げることに決める。
今日については一応、あのクリニックらしき建物のことを書いておく。なんの関係もないだろうが、まあN高生ってことで。
明日はどうしようかとか、あれこれ考えているとタカヤさんが来た。
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