好きなヒト
第6章 繋がり4
次にタカヤさんのメールを開く。
“了解”のみ。こちらも簡潔。
俺が送ったメールも“応援頼めます?”だけだった。
電話とメールが同時刻。
電話にでなかったからメールね。
俺は次の目的地に向かうため歩きながらタカヤさんの携帯に掛ける。
「あい、こちら湾岸署」
タカヤさんの第一声。わざとおっさんくさい口調で出る。
「あー。すいません、間違えました。」
俺は電話を切る。
すぐに俺の携帯が鳴る。タカヤさんだ。
「こらこら、警察にはね、逆探知って技があるんだ。逃げても無駄だよ。」
逆探知じゃねーだろ、それ。
「で、なんだい、困っているのかな。」
タカヤさんは相変わらず、刑事さん口調。
「はい。知り合いのところに掛けたつもりの電話がなぜか湾岸署につながって困ってます。電話恐怖症になりそうです。」
俺は棒読みで言う。
「んー。それは困ったな。じゃあ、俺が助けに行ってやろう。で、どうしたらいいかな。」
まだ刑事さん口調。
「できたら学生のほうを当たって貰えるとありがたいですけど。」
無視することにして、用件を伝える。
「ああ、それともし手に入ったとしても間違っても試してみたりしないように。」
俺は真剣な声で言う。
「・・・どういう意味だ。」
タカヤさんの声がいきなり真面目になる。
「そのまんまです。詳しいことはわかりませんが、なんかあるっぽいので、確認がとれるまでは慎重にお願いします。俺はこれからまだ行くところがあるので今日はたぶん事務所には戻れないので。」
それだけ伝えて俺は電話を切る。追求されては困る。データソースを明かすことになれば
アツキさんを危険に晒してしまう。
だから敢えて、やばいとか危険だという決定的な単語はさけて何かあると誤魔化した。
現にまだよくわからないし。
あと二件廻ったら、もう行かないと。
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