好きなヒト
第7章 繋がり5
学校にいる間にタカヤさんからメールがきた。
“今日行く”
“了解”返信。
タカヤさん、何か掴んだかな。
基本的に学校では調査はしない。足が付く原因になる、が、そいうった情報がないかアンテナは張っている。たばこさえ未成年には手に入れずらいご時世、薬の話なんてそうそうはでない、高校生の手に入るものなんてシンナーか覚せい剤もどきの芳香剤レベルだ。
どうしたものかな、N高。
出回っているのは本当らしいが、ルートがわからない。
まあ、本来俺たちの仕事はこの程度の情報収集でも十分で、あとは本物の方々の仕事だったりするんだが、俺の好奇心は止まらない。
学校を出てまっすぐ事務所へ向かう。すでに鍵が開いている。
タカヤさんかな。
が、いたのは、ユズルさんだった。また、窓際でたばこをふかしている。
「おー、マナト」
「どうも。どうしたんですか。」
「うん、呼び出し。」
「へえ」
俺は鞄を置く。
「タカヤさんにですか。」
「いーや、藤原のおっさん。」
藤原さんはおっさんじゃねーぞ。
「タカヤ来んの?」
「はい。俺のヘルプに入ってもらってます。」
「そうか、タカヤが塞がってるからか。」
ユズルさんはふーっとたばこの煙を吐き出す。
「あ、そうだ。」
ユズルさんは自分の鞄からかわいらしくラッピングされた包みを取り出す。
「はい、これ。」
「“はい”って、また、もらったんですか。」
どんだけモテるんだ。
「うん、たぶん前の子。どうだったって訊かれたから、おいしかったよって言ったらまた作ってきたみたいで。ああいう場合どうこたえたらいいのか、難しいよな。気を持たせたくないし。」
「いい悩みですね」
「お前ね、けっこう面倒だよ。女の子同士もめられると。」
嫌味にしか聞こえないのは、俺の根性が曲がってるのか。
「マナトは彼女いないの?」
「いませんよ」
「なんで、モテなくはないだろ」
誉めてんのか、けなしてんのか。
「モテませんよ」
「ふうん。」
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