好きなヒト
好きなヒト
成人向完結
発行者:iroha
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/09/09
最終更新日:---

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好きなヒト 第2章 はじまり2
マナトが買い出しに出て事務所で独り、煙草を吸いながら部屋を見回す。
どうして来てしまったのだろう。

どうして?
思わずふっと笑いが漏れる。
自分で自分が笑える。

わかっているのに、どうしてなんて…。

わかっている。
ここへ来たのは、彼に会えるかもしれないという僅かな期待があるからだ。オレとアイツを繋ぐ場所。

会いたいなら用事を作って連絡を取ればいいのに、友達なのだから。

それができない。

叶わない、と自分を誤魔化して諦めようとした。けど、無理だった。

だから、諦めるのは諦めた。
好きでいよう。勝手に好きでいればいい。

そう決めると、気持ちも落ち着いていたはず。
しかし、やはり気持ちに動かされてここへ来てしまった。

窓の外を見ながら、はぁっとため息をつく。
行き場のない思い。


ドアが開く音。

「ユズル」

名前を呼ばれた声に驚き、びくっとした。
マナトが戻ったのだと思い気を抜いていた。
振り返ることができない。

「ユズル?」

肩をそっと掴まれる。


仕方なく振り返る。

「あぁ、悪い。ぼーっとして…」

振り返ったところに、タカヤ顔。
びっくりして固まる。
タカヤは眉間にシワを寄せている。すぐに返事をしなかったのが気に入らなかったのか。
タカヤがオレから顔を離す。

「お前いつも気抜きすぎ、後ろから刺されっぞ」
「後ろ刺されるような覚えないよ」
「そうかー?せっかくの手作りプレゼントを友達に食べさせてんのに?」
タカヤが机の上のクッキーを眺める。
「お前に言われたくないね。」

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