夜想倶楽部 鉄哉編
夜想倶楽部 鉄哉編
成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/03
最終更新日:---

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夜想倶楽部 鉄哉編 第2章 第一章 絶望の始まり
 小野寺がまたあごをしゃくると、背後の男が鉄哉にしわくちゃの札を何枚か握らせた。鉄哉は手元の札と、小野寺の顔を交互に眺めている。
「一緒に来るなら、そいつはおめえのもんだ。後からその十倍だって払ってやるぜ。どうする」
 鉄哉は札をポケットにしまい、頷いた。小野寺がにやりと笑う。
「商談成立だな。じゃあ、ついて来な」
 黒塗りの乗用車が街を離れ、郊外の大きな屋敷に着くまで、二時間ぐらいはかかった。車は擬洋風の屋敷の正面玄関に横付けされ、薄汚い少年と三人の男が連れ立って建物の中に消えていった。一人は車を車庫に収めに行った。

「この子かね」
 イスに深く腰を沈めた尾藤は、上機嫌の少年を正面に立たせて、その後ろにいる小野寺に話しかけた。
「そうです。鉄哉、うちの組長だ。あいさつしなよ」
 鉄哉は神妙に頭を下げた。
「こんにちは」
「うむ。なかなかりりしい男前ではないか」
「それで、俺に仕事って……」
「おお、仕事かね、それはすぐにわかる。今ここにいる男どもが親切に教えてくれよう」
 尾藤が座ったままで目配せすると、周囲にいた小野寺以外の男三人がいっせいに鉄哉に襲いかかり、あっという間にうつ伏せに組み敷いてしまった。鉄哉は精一杯手足をばたつかせながら、叫んだ。
「な、何をするんだよう! てめえら、このクソオヤジ! 離せよ!」
 ニヤニヤしながら小野寺が近づき、鉄哉のそばにしゃがむ。
「どういうことだ!」
「こいつが仕事だ。今日からお前はお前自身を売る。お前自身が商品なのさ。お前のからだは俺たちが五百円で買った」
「何わけのわかんないこと言ってんだ。離しやがれ、畜生!」
 鉄哉に馬乗りになった男の一人が彼の腕をねじりあげた。鉄哉は苦痛の叫びを漏らし、一層暴れたが、大人の男三人にかなうべくもない。やがて男たちは渡された縄で鉄哉を後ろ手に縛った。足首にも縄を廻し、がっちりと緊縛する。わめき叫ぶ口には丸めた手ぬぐいが押し込まれ、猿ぐつわがかまされた。声にならない声を漏らしながら陸にあげられた魚のように暴れる鉄哉を、男の一人が軽々と持ちあげ、肩に担いだ。薄暗い洋間に投げ出された鉄哉は、いかに抗おうとも、もはや悪魔の食膳に供されるのを待つばかりの獲物であった。

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