夜想倶楽部 鉄哉編
夜想倶楽部 鉄哉編
成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/03
最終更新日:---

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夜想倶楽部 鉄哉編 第2章 第一章 絶望の始まり
「心当たりがねえこともねえですぜ」
 その時、そばで話を聞いていた小野寺が、突然口を開いた。小野寺は、煌々とした電灯の下でもいつの間にかその存在に誰も気づかなくなり、一方目を合わせばそれだけで小物は身動きもできなくなるような、異様な迫力を備えた、まさに蛇のような男だった。長身でやせぎすで、剥き出しの胸の下、腹部に巻いたさらしに短刀を差している。
「うん?」
 尾藤が反応した。小野寺はほとんど表情を動かさず、二人と目を合わすこともなく続けた。
「新宿でスリヒッタクリをナリワイにしているガキなんだが……なかなかのタマですぜ」
「興味深いな」
 尾藤が後を促す。
「ウチのシマでいろいろやらかしたんで面識があってね。ヤキを入れてやったこともあるが……懲りない奴で。まあこのご時世を宿無しで一人で生きてるんだから、たくましいっていうかね。すでに何人かつるんでならず者のチームを作ってるらしい。それなりの歳まで生きていたら、組に誘ってやろうかとも思ってたんですがね」
「いくつぐらいかね」
「十二になったかなってないかですね。学校に行ってりゃ小六でしょう」
 浜田はいつになく多弁な小野寺を、物珍しげに見ている。
「そいつをとっ捕まえて、代議士センセイに差し出そうってわけだ」
 小野寺は浜田を横目にちらっと見て、再び口を開く。
「ただ……神谷(かみや)さんには、釘を刺しといた方がいい。それなりに覚悟しておいてもらわないと」
「覚悟とな」
「何が起こっても責任持ちませんよって。油断してケガしても知りませんよって。そのために普段はこっちで手間かけてんだ。特別注文にリスクはつきもの。もしチンポ噛み切られても、こっちは責任持たないってことで」
 小野寺が珍しくも普段はめったに動かない唇に笑みを浮かべ、浜田はその不気味さにむずがゆさを覚えた。尾藤はくつくつと笑う。
「ふふふ、なかなか面白いガキのようではないか。楽しいショーが見られるかも知れんの。小野寺……いつまでかかる?」
「明日中には」
「では、頼んだぞ」
 小野寺は腰を上げると、振り向きもせず部屋を出ていった。

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