夜想倶楽部 鉄哉編
夜想倶楽部 鉄哉編
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/03
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
夜想倶楽部 鉄哉編 第7章 第六章 少年と少年
「だんだん慣れてきたら、気持ちのいいこともあるんだ。菊池さんは最初怖かったけど、僕ががんばったら、最近は優しいし、お客さんも優しい人いるし」
 鉄哉は、何だか太郎がたまらなく愛おしくなった。自分とは全く種類の違う人間だ。健気で、そして弱そうに見えて、本当は芯に強いものを持っている。鉄哉とはまったく別の種類の強さだ。
「ねえ、もうちょっとくっついてもいい?」
 太郎が鉄哉の方を向いて言った。
「変なことするなよ」
「しないよ」
 今度は太郎が笑った。太郎はからだを横にして、鉄哉の肩にくっつき、腕を鉄哉の胸に添えた。手のひらの温かさを感じる。淫らな獣のようでもあった、さっきの姿が嘘のようだ。素直で健気で正直な、何の罪もない善良な少年。鉄哉は胸に説明不能の疼きを感じて、腰の所の、太郎の手をそっと握った。柔らかい指が、握り返してきた。

 やがて、やすらかな寝息が聞こえてきた。鉄哉もいつになくリラックスしていた。二人のからだを覆うように毛布をかぶり、目を閉じた。

 この少年を、太郎を連れて、もう一度自由になりたい。ここを逃げ出したい。例えどんなに絶望的な状況であっても、鉄哉は太郎のように、全てをあきらめて状況に流されることなどできなかった。
38
最初 前へ 35363738394041 次へ 最後
ページへ 
NIGHT LOUNGE5060
TOP