夜想倶楽部 鉄哉編
夜想倶楽部 鉄哉編
成人向完結
発行者:とりさん
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/03
最終更新日:---

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夜想倶楽部 鉄哉編 第7章 第六章 少年と少年
「孤児院脱走して、おてんと様を屋根にして、暮らしてきた。ひもじかったり寒かったりはしたけど、仲間もできたし、何より自由だった。それが今はこれだ」
 鉄哉はくやしそうに唇を噛んだ。
「親に頼らないで、子どもだけで生きてきたの?」
「そうだな。何とかな。途中で仲間が死んじまったり、いろいろあったけどな」
「かわいそうだね。でも子どもだけで食べ物とか、どうするの?」
「盗むのさ。スリ、カッパライ。要するに泥棒だな」
「……えらいんだね」
 鉄哉は思わず吹き出して、太郎のからだを肘で突いた。
「泥棒が偉いって、初めて言われたよ」
「おかしい? でも僕にはできそうにないもの」
「まあ大変は大変だ。捕まるときは捕まるし、タコ殴りにされることもあるし。……お前は、親は?」
「お父さんがいるよ。お母さんは何年か前にいなくなっちゃったけど」
「じゃあ何でこんなところに……」
「お父さんがね、ここの人達にお金借りてるんだって。たくさん。お父さん一人じゃ返しきれないから、僕がここで働くことになったんだ」
 それって……要するに借金のカタに売られたってことじゃないか。こんなに幼い子を、金に換える親がいるのか。鉄哉は思ったが、それを口にはしなかった。太郎は何も知らないんだ。
「どんな仕事かわかってたのか?」
 太郎は首を振った。
「世の中にこんな仕事があるなんて思いもしなかったよ。最初はとってもつらかった。殴られる以外にも、痛いこといっぱいされるし。僕らみたいな子どもおもちゃにして、何が楽しいんだろう? 女の人じゃだめなのかな」
 鉄哉はため息をついた。
「逃げようとか思わないのか?」
 太郎は首を振った。
「だめだよ。仕事から逃げたら、お父さんが殺されるって言われた」
「…………」
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