淫獣の檻
第1章 吊るされた女達
田中美咲は絶句した。
眼前に広がる光景に眼を奪われ、思考が停止した。
古代の円形闘技場を思わせるような石造りの建物と、はためく色とりどりの鮮やかな幕に。
そして、そこに繋がれた女達の姿に。
肌の白い女もいれば褐色の日に焼けた肌の女もいた。
金髪も銀髪も、コスプレを思わせるような赤や青の髪の女もいる。
モデルさながらの脚線美を晒すスレンダーな美女、熟練のベリーダンサーような妖艶な女。
触れなば落ちん風情の色気に溢れた女性、やはりコスプレなのか獣耳を着けた少女の姿もある。
異様なのは、その誰もが半裸・・・否、全裸に近い事だった。
両の手首を頭上で手枷に繋がれ、皆一様に呆然としている。
誰かの悲鳴を皮切りに、闘技場は女達の叫び声で満たされた。
突然の白昼夢に、美咲は再度絶句し眼を擦ろうとした。
そこで初めて自分の手首が拘束されている事に気が付いた。
知らず、視線が下に落ちると羞恥に全身が熱くなるのを感じた。
下着を着ていると言えるのか・・・・、お気に入りのブラはしっかりと役目を果たしてくれていた。
だがショーツはずり下がり、片側の膝にかろうじてひっかかっているだけ。
美咲の恥ずかしい場所を隠しているのは肩から下がった薄いレースのキャミソールが一枚。
しかも、何故か肩紐が切れて腰にまとわりついただけで、恥部を隠せるかどうかのかなり際どい位置だった。
「やだ、やだっ・・・何これ、分けわかんない!・・・どうしてぇ?」
美咲は半泣きで身を捩った。身体を捩ったせいでレースのキャミソールが頼りなく揺れる。
動けばますます望まない状態になりそうで、美咲は身体を強張らせた。
周囲の女達も泣き叫んでいる。
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