イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
体が重い。


緊張で、心臓が疲れてるんだ。


ゾラには、何て書いたらいいかな。


明日は、起き上がれるかどうかも分からないよ。

すでに体は熱を持っていて、革鎧を棚に乗せるのさえ、大変だった。



今日勝ち上がった各種目四名は、みな同じ気持ちだろうな。


今日は、お湯に浸かりたい。


そうすれば、多少回復するかも知れないからな。


きっとマキさんなら、気を利かせてくれるはずだ。


俺は、だるい体を無理やり動かして、マキさんの宿を目指した。



初めの登り坂をすぎてしまえば、宿までずっと緩やかに下りが続く。


俺は喉を潤し、歩き出した。



「リヤド、止めて。用があるのよ」


「いけません。外をお覗きになっては。シス様にしかられます」


「このくらいなら!」


「リリア様!」


リリアは、ゾルジの姿を見つけ、ゆっくり走る馬車から飛び降りた。


「こら、姫、待ちなさい」


執事のリヤドは、そのままリリアの後をついていった。


馬車を放っておくわけにいかないし、リリア姫はすばしこい。








「頑張ったのね。イルバシットの戦士さん」



リリアの声がする。


でも、勝手に空耳だと思い込み、俺は振り返らなかった。


「戦士さん!パンはおいしかった?」




振り返ると、薄い紫色のドレスを着たリリアが、駆け寄って来る。



リリアのドレスは、イルバシットの物とはだいぶ違っていた。


見るのも、なんだか恥ずかしいくらい。


街で会った時は、黒の上下だったのに。



紫色のドレスは、胸が大きく開いているし、スカートの中が透けて見えそうだ。


「クスタリリア!」


「止めてよその言い方。私はアダン家のもので、王家の持ち物じゃないわ」


「ごめん。マキさんがそう呼んでたから。クスタって姫君の事でしょう?」


「少し違う。クス家の女って言う意味。大昔は、みんな王様の物だったのよ」


「…。」


俺は情けないけど、言葉が出なかった。


「あなた強いわ。初戦の相手は、去年の女子優勝者だし、最後の相手は、優勝候補だったの。とても、意地悪な山だったのに」


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