彼と結んだ契約
第4章 4章 足を舐める
這って 足裏の間から 彼の顔を 覗くと
パスタの皿を抱えて 食べながら 笑っている
彼の口の中にも周りにも パスタにからんだ
オリーブオイルを 付着しているだろう
「少し 待って」
私は 言うなり 這った姿勢から 立ち上がり
キッチンに 戻って
ボトルを 持って 再び 彼の下に這う
さすがに彼も ちょっと 怪訝に
皿とフォークを口から離して こっちを視ていた
私は ボトルからジンを 口に含むと
そのまま 擦りつけるように
舌を伸ばして 足の裏を 舐めあげる
足の指も 狭間も
ピタピタと 音を立てて
アルコールが 蒸発して 肌の熱を奪い
冷たく 光沢を つけていく
「あはは やるじゃないか
気持ちいいよ スースーして」
頭でも 撫ぜてくれるのかしら?
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