Shine~Masato & Hina story~
第7章 エピソード6
大人な解決法なんて言うからどんな事を要求されるのかと思っていたら・・・。
人間なんて不思議なモノで自分はそんなに大した事をしてなくても
言葉巧みに要求された事はしないといけないような気がしてくる。
もちろん私も例外じゃなくて・・・。
小石を軽く当ててしまっただけなのに
いつの間にか大きな石を故意に当てて怪我をさせてしまったような罪悪感を感じていた。
この状態が俗に言う“洗脳”みたいなものなのかもしれないけど・・・。
この時の私にはそれを冷静に判断する余裕なんて全くなかった。
普通だったら初対面の人にケイタイの番号を教えたりしないのに・・・。
冷静さを失った私は
ケイタイの番号で許して貰えるなら・・・。
そう思ってしまった。
「・・分かりました。」
頷いた私は横に置いていたバッグに手を突っ込んだ。
私を見つめていた男の子がニッコリと笑みを浮かべ
『良かった。話の分かる子で。』
満足そうに呟いた。
その時、私は気付いてしまった。
ニッコリと笑みを浮かべてる男の子の瞳の奥が全然笑っていない事に・・・。
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