みんな・愛してるよ
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成人向アフィリエイトOK
発行者:カオス
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ジャンル:恋愛
シリーズ:大好きだよ

公開開始日:2010/07/21
最終更新日:2012/03/12 22:53

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みんな・愛してるよ 第33章 第三十三話 優しさ
家に帰り着くと台所は大惨事が起きていた。
コンロにこびり付いた白い膜。
噴きこぼして黒く焦げ付いた鍋。
洗い場に積み重なっている全てのフライパンや土鍋やその他諸々。
そして床にへたり込んでいる国久。
これだけの状況が揃えば国久が何をしたかったのか簡単に見当が付く。
そう康宏の為に『御粥』を作りたかったに違いない惨状だった。
そっと僕はコンロに近付き鍋の中を覗き込む。
中を覗きながら簡単に考え始め、水分を加えてもう一度煮てしまえばおもゆみたいになっちゃうだろうけど普通に食べれるように出来そうだった。
へたり込んでる国久は無視してそそくさと鍋に水を注ぎ火を掛ける。
おかゆは強火で作っちゃいけない。
弱火でじっくり時間を掛けてたまに焦げないようにかき混ぜながらゆっくり作らなきゃ簡単に噴き溢して焦げ付いてしまう。
約十分程で何とかおかゆを作り終えた僕は康宏用のお茶碗におかゆを入れ、お盆にスプーンとおかゆのおかわり分を載せて国久に渡す。
「国久。御粥康宏に持っていってあげて。薬飲みたくても何かお腹に入れないと駄目でしょ? あと、これは僕が作ったんじゃないんだからね。国久が作ったんだよ。僕がしたのは少しだけ味を調えたのと同じくらいの事しかしてないんだから」それだけ言うと山のように溜まってしまっているお鍋達をそそくさと洗い始める。
食器なら亮輔が割り込んでくるけどここ最近はお鍋は洗せてくれるから大丈夫だろう。
荒い物が済むと次は亮輔と僕に加え、康宏の代わりに国久の分の朝食。そして亮輔と僕の分のお弁当をこしらえる為せっせと調理していく。
何とか七時には仕上がり亮輔を起こして康宏の部屋を小さめの音でノックする。
「国久。朝食出来たよ? 」そっとドアを開け覗き込むと康宏一人だった。
手招きされて康宏の部屋にスルリと入り込む。
「優夜兄ちゃん御粥ありがとうね。国久ってば今まで一回も台所に立った事ないんだって。面白いよね。初めての僕でもおかゆの作り方くらい知ってたよ」にこにこ笑いながら話しかけてくる康宏に僕はそっと頭を撫でた。
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