好きなヒト
第11章 迷う心4
そうとう辛そうだな。
そりゃ、そうだよな。
あんなに幸せそうだったのに。
でも藤原のやつ、いきなり異動なんて・・・。
やっぱり、例のマナトが踏み込んだ一件かな。
責任を取らされたのかも。
今度藤村さんに訊いてみよう。
さて、調査の準備しないと。
予定表は、タカヤが作ってたのをコピーして、修正を入れていく。
さすがタカヤ、よく出来てる。
それから、藤村さんに当番の変更と調査担当の変更を連絡しないと、と思ったところでセキュリティが開く音。
誰だ、こんな時間に?
時刻は21時前、俺はこれを終わらせたら帰るつもりだったが、ドアが開くのを待つ。
入ってきたのは、藤村さん。
「あれ?ユズルくん?」
「あ、お疲れ様です。」
「今日って、確かマナトくんじゃなかったっけ?」
「ああ、すんません。今連絡しようとしてたとこなんですけど、マナト一回来たんですけど体調崩してて今週俺が代わります。それと調査も俺入るんで、お願いします。」
「そうなのか。そういうことなら仕方ないね。なかなかマナトくんに会えないな。」
「会いたいんですか?」
「他のメンバーにはもう全員会ったからね。」
「それにしても、急でしたね。担当交代。」
「ん?ああ、そうだね。」
「なにかあったんですか?」
「さぁ、俺はよく知らないんだ。俺もいきなりだったから面食らった口。」
話してはくれないか。
「ああ、そうだ。調査計画できたんで確認してもらえますか。」
「うん。」
藤村さんはすぐに目を通してくれる。
「よく出来てる。一人で大丈夫?誰か付ける?」
「いえ、取り合えずは一人で、無理そうなら申請します。」
「そう、わかった。きみはもうベテランだね。」
「いえ、そうでもないですよ。」
「頼りにしてるよ。まだ、いるの?」
「もう帰ります。」
「じゃあ、一緒に出よう。」
藤村さんと駅で別れる。
どうやら藤村さんは俺を駅まで送ってくれたようだ。
「じゃあ、気を付けて。」
「藤村さんは、これからまだ仕事ですか?」
「うん、まあね。」
「お疲れ様です。」
感じのいい人だ。
藤原さんはいつもぶっきらぼうで如何にも刑事って感じの人だったけど、藤村さんは刑事というよりは、営業マンっぽい。
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