好きなヒト
第2章 はじまり2
タカヤは背が高く端正な顔立ちに切れ長の目、短髪。引き締まった体躯。
落ち着いた雰囲気で人気がある。
女癖がいいほうではなくしょっちゅう二股だのでもめているが、いっこうに懲りた様子はない。
こんなヤツにとやかく言われる覚えはない。
「なんかあったのか?」
当番でもないのにオレがいたことを不思議に思ったのか。
「いや、たまたま。そっちこそ」
「あぁ、オレも。時間あったから報告書書きに。」
「この前の?」
「おぉ」
「手伝えなくて悪かったな」
「いいって、代わりにリホちゃんが入ってくれたからなんとかなったよ」
「そぅか。オレよりリホのが良かったんじゃない?」
「そんなことねぇけど、まぁ結構ちゃんとしてるなあの子、有望だよ」
「そーだね、オレも前に組んだ時思った。」
リホというのは、さいきん入った高校一年生の新人さん。
危険が伴わないこともないので、基本的には女の子は使わない。けれど、状況的に必要な場合もある。
前にいたユミさんが引退して、リホが入った。
紅一点。
タカヤはパソコンを叩き始めた。
小気味良いタイピングの音。
それを眺めながらマナトが入れてくれたコーヒーを飲む。もうぬるくなってる。
「で、マナトは?」
答えようとしたときドアが開いた。
入って来たのは、藤原さんだった。
「お疲れ様です。」
反射的に挨拶をする。
タカヤもドアの方を振り返り同じようにに挨拶をする。
6