松川村ペンション殺人事件
第1章 夏樹と章吾
夏樹はパンツ一丁のスタイルで、熱気とにじみ出る汗を冷やすべく、団扇を仰いでいた。
扇風機を最大、窓は全開にするも外の風はほほ無風で
空には全く雲が無く、いわいる快晴で、その中に眩しく浮かぶ太陽が
強烈な日差しを発し、熱気をつくりだしている。
都会の方では40度を超えた県があるとか。
「ったく……エアコンの設定温度が28度って……エアコンの意味ねぇじゃん。それこそ
電気代の無駄だし」
最近政府から節電が求められているが、馬鹿正直に毎回28度設定にしていては
たまったものじゃない。
学校でもエアコンはなるべく28度にしろとのことで、
人口密度が多い講義中は地獄である。
思い切って20度の快適温度にしたいが、エアコンが故障中のため
こんなことになっていると……
節電と思えばいいのか……思えない……。
「いくら田舎もんの俺らが節電しても、都会のやつらが無駄遣いしてるんじゃねえ」
それにしてもこの暑さはどうにかならないだろうか。
いくらギンギンに冷やした麦茶で喉を潤しても、汗となって出されてしまい
蒸発してしまう。
部屋に容器を置いておくとあっという間にぬるまってしまうから氷を繰り返し
注ぎ足して飲んでいたが、ついに氷が底をついた。
「あーっ! たくぅ!」
俺は寝転がった。
その時、チャイム音がなり、玄関先に目を見やる。
誰だろう?
「はーい、今行きまーす」
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