原爆
原爆

発行者:オフィス亀松亭
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:未設定

公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
原爆 第1章 1・マンハッタン計画

○マンハッタン計画<�1>

─ まことにあなたは、正しい者を
  悪い者と一緒に滅ぼされるの
  ですか。(創世記第18章23節) ─




 1923年、ドイツのライツベルク
刑務所で、1人の男が執筆活動に専念
していた。作品の題名は「わが闘争」
作者はアドルフ・ヒトラー34歳。
ドイツ国家社会主義労働党、すなわち
「ナチス」の党首であった。

 わが闘争の内容は、人種的偏見に
凝り固まっていた。アーリア人の中核
たるゲルマン民族の優秀性を説き、
ユダヤ人を劣等民族の最たるものと
きめつけた。ゆえにユダヤ人は、世界
に毒を撒き散らす病原菌のような民族
で、滅びて当然だと説いた。ヒトラー
は翌年12月20日に出所。わが闘争
の思想と共に、国民的英雄としてナチス
独裁体制を確立してゆく。

 ヒトラーがナチス党首になった頃、
同じドイツの温泉郷・バーデン・
バーデンで、大日本帝国陸軍の若手将校
3人が、軍部政権樹立にむけての「謀議」
を練っていた。国内では、「薩長藩閥」
を打破するクーデター。満州問題は武力
解決。この2つを、国の内外で同時に
実行しようというのである。

 岡村寧次・小畑敏四郎・永田鉄山の
三少佐は、「謀議」の同士を求めて、
ライプチヒに留学中の東条英機少佐を
訪ね、快諾を得る。時代は彼らのシナ
リオに沿って、2・26事件と満州
事変、泥沼の日中戦争から大東亜戦争
へと動き始めようとしていた。

 絶対的独裁権を手中にしたヒトラー
は、わが闘争の思想を忠実に実行して
ゆく。推定600万人と言われる
「ユダヤ人大虐殺」である。また
反ナチスの反乱分子の処刑、精神
薄弱者・身体障害者の「安楽死」も
併せて実行された。


1
最初 前へ 1234567 次へ 最後
ページへ 
TOP